脱炭素とは、読んで字の如く炭素から脱することであり、CO2(二酸化炭素)などの温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることです。
温室効果ガスが起因となる地球温暖化対策のための取り組みになります。
出典:国土交通省 気象庁
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/chishiki_ondanka/p04.html
ちなみに温室効果ガスは以上の図が示すように
です。
カーボンは炭素、ニュートラルは中立を意味します。つまり、カーボンニュートラルは、炭素の排出と吸収の量が一致していて、炭素の増減がない状態のことを指します。
たとえば、成長した樹木を燃やすと二酸化炭素が排出されます。しかし、二酸化炭素が増えたのではなく、中立な状態です。
なぜなら、樹木は成長する過程で大気中から二酸化炭素を吸収しているため、このケースの場合の二酸化炭素は中立だとされます。
脱炭素社会(カーボンニュートラル)とは、温室効果ガスの排出量を実質ゼロに実現化した社会のことです。
具体的には、植林や森林保全活動による二酸化炭素吸収量を差し引いて、排出量が実質ゼロになること目標とした取り組みをカーボンニュートラルと言います。
脱炭素社会と低炭素社会の大きな違いは、二酸化炭素排出量の目標にあります。
脱炭素社会は、温室効果ガスの主な要因とされる二酸化炭素の量を実質ゼロとすることを目標にしたものです。
一方で、低炭素社会は、二酸化炭素の排出量を減らすことを目標にしています。
SDGsは、2015年の国連サミットで採決された「2030年までに持続可能なよりよい世界を目指す」世界193カ国の目標です。
17の目標で構成されたSDGsのうち、脱炭素社会にダイレクトに関わるとされるのが2つあります。
目標にはそれぞれ番号があり、07の「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」と、13「気候変動に具体的な対策を」の2つの目標が、直接脱炭素社会に関わるものです。
しかし、地球温暖化対策としてのカーボンニュートラルに間接的に関わるとされるSDGsの目標は、他にもあります。
たとえば、温室効果ガスの影響で海面が上昇すると住む場所を失う人が出てくるため、SDGsの目標である「住み続けられるまちづくりを」を達成できません。
このように、カーボンニュートラルは、SDGsの目標達成するためには欠かせないものです。SDGsは2030年、カーボンニュートラルは2050年を目標達成の時期として掲げています。
達成する時期は20年違いますが、SDGsとカーボンニュートラルには、再生可能エネルギーへのシフトが必要など、目標達成のために不可欠だとされる共通の要因があるのが特徴です。
参照:経済産業省 資源エネルギー庁 カーボンニュートラル
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/carbon_neutral_01.html
二酸化炭素の計測基準が、カーボンニュートラルの問題点だとされています。理由は、二酸化炭素の計測は生産をベースにしているからです。
たとえば、先進国が発展途上国に工場を立てて、そこから二酸化炭素が排出されると、発展途上国の二酸化炭素排出量としてカウントされてしまいます。
本来であれば、二酸化炭素の消費をベースに計測した方がいいのですが、統計やデータを得るのに時間を要するため現段階では排出ベースのままであることが課題として挙げられます。
カーボンニュートラルは世界共通の目標であるため、足並みを揃えて達成するのが好ましいとされています。
しかし、上記で記載の通り先進国が、発展途上国の人件費の安さを理由に、発展途上国で商品を作る際に二酸化炭素を生産してしまいます。
この場合、先進国の二酸化炭素排出量は減っても、発展途上国の排出量は増えるため、世界規模で見るとフラットもしくは増加する場合が多いです。
そのため、カーボンニュートラル達成に向けて、「国同士が利害関係による対立をすることなく、互いに協力し合いながら一緒に二酸化炭素の排出量を減らすことができるか」が課題とされています。
脱炭素化が、世界や日本で強く求められるようになったのには、以下のような理由があります。
以下で詳しく解説していきます。
脱炭素化が実現できなければ、地球温暖化が進み海面が上昇する可能性が高いです。
南極の氷がとけて海面が上昇すると、沈んでしまう島国や地域が発生すると言われています。
このままでは、地球温暖化の影響で2050年には海面が90cmほど上昇するとされ、気候の影響で住居を失った気候難民が増加するそうです。
地球温暖化が進むと気候変動が起こる可能性が高く、自然災害を引き起こすことが懸念されています。
具体的には、降水量が増加し洪水になったり、雨が降らず干ばつを引き起こしたりするなど、気候が極端に変化しやすくなります。
地球温暖化により自然災害が起こると、生命の危機に及ぶだけでなく、ライフラインや経済活動にまで大きな打撃を与えます。
このまま二酸化炭素が増加し続けると地球温暖化が進み、異常気象を誘発すると言われています。
異常気象が起きると、農業や漁業などが大きなダメージを受ける可能性が高いです。
それにより、食料生産に悪影響が出てしまい、食品の値段が高騰したり、十分な食料を得ることができなくなったりするなど、さまざまな問題が引き起こるとされます。
このまま世界中で化石燃料をメインに使用していくと、地球の平均気温が上昇してしまいます。平均気温が上昇すると、気候変動が起きて世界が経済的な打撃を受けてしまいます。
具体的には、1998年~2017年の間に世界で起きた気候変動による経済的損失が、約252兆円に上っています。その20年前と比べて、気候変動による経済的損失が150%も増加しているため、根本的な原因とされる温室効果ガスの削減が必要です。
参照:日本気象協会 気候変動が経済に与えるリスクと対策
https://www.jwa.or.jp/wp-content/uploads/2020/05/0f6e9a6e3fe183d92f9be7227b7e6b12.pdf
脱炭素社会を実現するには、化石燃料の使用を減らし炭素の排出量を減らす取り組みが必要です。現在の地球では、人間活動に必要とされるエネルギーのおよそ85%を化石燃料に頼っているのが現状です。
地中に埋蔵されている、石油、天然ガス、石炭などが主な化石燃料です。化石燃料は、再生産ができない限りあるエネルギー資源となっています。
化石燃料の使用量が急増した理由は、大量のエネルギーを取り出せるだけでなく、輸送や貯蔵が簡単に行えるからです。
しかし、化石燃料を燃焼させると、酸性雨、大気汚染、地球温暖化を引き起こす主な原因になってしまいます。
酸性雨は、大気汚染物質が溶け込んだ強い酸性の雨です。酸性雨が降ると、森林枯死をもたらしたり、生態系に影響を与えたりするとされています。
森林枯渇により地盤が緩むと土砂崩れを引き起こしやすくなるため、人が安心して住むことが難しくなります。
また、大気汚染は、光化学スモッグやPM2.5を発生させる要因で、健康被害を引き起こすものです。
参照:一般財団法人環境イノベーション情報機構 化石燃料
https://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&ecoword=%B2%BD%C0%D0%C7%B3%CE%C1
再生可能エネルギーは、太陽の光や熱、水力、地熱などから得られ、比較的短期間での再生が可能です。利用しても枯渇せず温室効果ガスが発生しないため、地球や人に優しいとされています。
しかし、現在の世界の再生可能エネルギーの利用率は、わずか17.5%ほどしかありません。
以下の記事で再生可能エネルギーについてわかりやすく解説しています。ぜひご覧ください。
参考記事:【入門】再生可能エネルギーとは?種類や特徴を解説!
参照:ユニセフ 再生可能エネルギー世界利用割合
https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/7-energy/
2021年4月の時点で、世界には196の国があります。国連に加入しているのは、そのうちの193カ国です。
世界で取り組む目標はSDGsや国連責任投資原則など、国連で採決される傾向にあります。
ここでは
の2点を世界の動向として取り上げます。
「脱炭素社会(カーボンニュートラル)とSDGsの関係性」の見出しでも解説しましたが、脱炭素社会(カーボンニュートラル)は、国連に加盟する世界193カ国の共通目標です。持続可能な開発目標である、通称「SDGs」に組み込まれています。
人と地球が健やかに繁栄し続けるように、化石燃料使用による大気汚染を食い止めるための取り組みです。
2006年に国連責任投資原則によって「投資にESGの視点を組み入れること」が提唱されました。国連が地球環境に配慮したESG投資を推奨しているため、世界の機関投資家からの期待が寄せられています。
国連責任投資原則の署名数は毎年右肩上がりに伸びていき、2018年から3年ほどで約2.5倍に増えました。2021年8月の時点で、世界の4419社が国連責任投資原則に署名しています。
参照:日本経済新聞 世界のESG投資額
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB163QV0W1A710C2000000/
参照:サステナ PRI署名機関一覧
https://www.sustaina.org/ja/links/pri/
ここでは、
について取り上げて解説をします。
2020年10月に、日本政府は「2050年カーボンニュートラル宣言」を行いました。2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを目標とする宣言です。
現状は、炭素の排出量が吸収量を大幅に上回っているため、温室効果ガスの大半を占める二酸化炭素の排出量を減らさなければいけません。
また、二酸化炭素だけでなく、メタン、一酸化二窒素、フロンガスも含めて「温室効果ガス」とし、排出量を減らして実質排出量ゼロことを目標として掲げています。
日本政府により、2021年5月に「地球温暖化対策推進法」が改正されました。地球温暖化対策推進法の基本理念は、”2050年までの脱炭素社会の実現”です。
平成10年に設立された地球温暖化対策推進法は、数年ごとに世界情勢やそのときの現状に合わせて随時改正されています。これまで、7回も改正されていることから、日本政府が具体的に温暖化対策を進めようとする姿勢がわかるのではないでしょうか?
2021年5月の改正では、企業の排出情報のデジタル化、オープンデータ化を推進する仕組みを定めています。
日本政府は脱炭素社会を目指すために、社会の仕組みを変えるだけでなく、個人のライフスタイルの転換が必要だとしています。「ゼロカーボンアクション30」は、一人一人が具体的にどのようなことをしたらいいのか、政府が国民へ向けて示したものです。
それによると、暮らしを脱炭素化するために個人ができるアクションは30種類あり、できることから取り組むよう推奨しています。脱炭素行動と暮らしにおけるメリットを、衣食住、交通手段、節約などのカテゴリに分けて紹介されているのが特徴です。
その中で、投資家や金融市場の注目を集めたのが「二酸化炭素の少ない製品やサービスを選ぶこと」を推奨する項目です。日本政府が、二酸化炭素の少ない製品やサービスを選ぶ具体的な方法として、個人のESG投資を提示しています。
環境、社会、企業統治に配慮した企業へ投資するのがESG投資です。ESG投資をすることで、資産を長期的に増加させる期待が持てるだけでなく、環境問題の解決に貢献できるとされています。
参照:環境省 ゼロカーボンアクション30
https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/
地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの、実質排出量ゼロを実現した状態が脱炭素社会(カーボンニュートラル)です。
カーボンニュートラルを2050年に実現させるために、日本を含む国連193カ国が投資や経済活動、再生可能エネルギー利用へのシフトなど多岐に渡り取り組んでいます。
また、温室効果ガス削減に向けた取り組みの1つとして、日本政府が国民へ向けて個人のESG投資を推奨しています。
ESG投資により環境に配慮した企業を応援できるだけでなく、長期的に見て資産を増加させることが期待されているからです。
しかし、だからといって投資経験が無い状態で、いきなりESG投資をはじめるのはハードルが高いと感じる方もいるのではないでしょうか?
ESG投資は、投資先を見極めるのが難しいとされるため、投資初心者の方はプロが審査した投資先へ出資するのがおすすめです。
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