ESG(ESG投資)とは?

近年では取引や手続きのデジタル化が進み、投資に対するハードルが下がってきました。
日本取引所グループが発表した個人株主数の調査でも、1949年と2019年を比較すると約12倍の人数になっています。「投資」という行為が、身近なものになってきている証拠です。

出典:日本取引所グループ 2020年度株式分布状況調査の調査結果について
https://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/examination/nlsgeu000005nt0v-att/j-bunpu2020.pdf
一口に投資といっても、不動産や株など様々な種類がありますが、その中で2020年ごろから注目を集め始めたのが「ESG(ESG投資)」です。
2020年には、金融庁の「『責任ある投資家』の諸原則」にも「ESG要素について考慮するべき」と記載されました。
以下では「ESG(ESG投資)」とは何かを解説していきます。
ESG(ESG投資)登場のきっかけ
ESGは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(企業統治:Governance)の頭文字を取った略語で、ESG投資は上記の要素を意識した投資のことを言います。
2006年、当時の国連事務総長だったコフィ・アナンさんが「投資家が利益だけを追及して活動してしまうと、地球環境の保全や安定した社会の継続ができない。投資家もESGを意識した投資をすべきだ。」と提唱したことがきっかけで生まれ、SDGsよりも早く登場した考え方です。
近年では、ESGの観点を考慮した投資が世界的にも広がっています。
国連責任投資原則(PRI)
ESGの考え方に同意した投資家は国連責任投資原則(PRI:Principles for Responsible Investment)という原則に署名することで、ESG投資家と呼ばれるようになります。
PRIには6つの原則があり、投資を行う際にESGの視点を組み入れること、ESGに関する情報開示を求めることなどが盛り込まれています。世界共通の投資のガイドラインとも言えます。
PRIの6つの原則
- 投資分析と意思決定のプロセスにESGの視点を組み入れる
- 株式の所有方針と所有監修にESGの視点を組み入れる
- 投資対象に対し、ESGに関する情報開示を求める
- 資産運用業界において本原則が広まるよう、働きかけを行う
- 本原則の実施効果を高めるために協働する
- 本原則に関する活動状況や進捗状況を報告する
ESGの要素
ESGの要素は、具体的に以下のようなものがあります。
環境(Environment)
気候変動、水資源の枯渇、生物多様性、廃棄物と汚染、森林破壊など
社会(Social)
ダイバーシティ、サプライチェーン、労働環境、健康と安全など
ガバナンス(Governance)
取締役会の構成、少数株主保護、賄賂と汚職、税金の透明性など
ESG投資家は、これらの要素を考慮して投資を行うことになります。

出典:年金積立金管理運用独立行政法人 ESGに関する要素の例
https://www.gpif.go.jp/investment/esg/#a
日本のESG(ESG投資)のはじまり
日本におけるESG(ESG投資)の認知度が高まったのは、2015年に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がPRIに署名したことがきっかけです。
GPIFは年金基金として世界最大の資産を持ち、2015年当時1兆ドル規模の運用を行っていました。世界最大規模の資産を持つGPIFがPRI署名したことで、世界的にもESGに対する意識が高まったと言われています。
出典:大森充 著 1冊で分かる! ESG/SDGs入門 中央公論新社
https://www.chuko.co.jp/tanko/2019/06/005187.html
SDGsとは?

SDGsはテレビや雑誌などのメディアで特集が組まれるなど、近年急速に普及しています。企業のホームページでもSDGsに貢献することをPRしていますし、SDGsのバッチを付けたサラリーマンもよく見かけるようになりました。
以下ではSDGsについて解説します。
SDGs登場のきっかけ
SDGsとはSustainable Development Goalsの略で、2015年の国連総会で採択された「誰一人取り残さない」社会の実現のための17個の目標です。
SDGsは持続可能な開発目標と訳され、環境問題、貧困、飢餓、教育など2030年までに世界全体で解決すべき目標であり、17個の目標の下には169のターゲット、 232の指標が決められています。
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出典:外務省 持続可能な開発目標(SDGs)達成に 向けて日本が果たす役割
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/sdgs_gaiyou_202108.pdf
CSRとは?

ESGと同じく3文字の言葉で、CSRという単語があります。似たような単語なので混乱する方も多いでしょう。
以下ではCSRについて解説します。
CSRの概要
CSRとはCorporate Social Responsibilityの頭文字をとった略語で、日本語では「企業が組織活動を行うにあたって担う社会的責任」という意味があります。
企業の社会的責任とは、利益を追求するだけでなく、企業の活動が社会に与える影響に責任を持ち、利害関係者(消費者や投資家など)からの要求に適切な対応をすることです。
CSRの考え方はESGよりも古く、1990年代後半に生まれました。
CSRとESG(ESG投資)の違い
利益を追求するだけでなく、社会的責任や環境、管理体制に配慮して持続可能な成長を目指すという大きな目的は同じですが、CSRとESG(ESG投資)は対象が異なります。
CSRは企業を対象とした考え方であり、ESG(ESG投資)は投資家が対象の考え方です。
ESG(ESG投資)とSDGsの共通点
ESG(ESG投資)とSDGsは、環境への配慮や社会責任に配慮することで持続可能な社会を実現しようとする点が同じです。
また、SDGsに掲げられた社会的な問題を解決しようとする時、企業はビジネスの機会を得ることができ、投資家は投資の機会を得ることになります。
出典:みずほ総合研究所 SDGsとESG投資
https://www.mizuho-ir.co.jp/publication/mhri/sl_info/pension/pdf/pension_news201811.pdf
ESG(ESG投資)とSDGsの違い
ESG(ESG投資)とSDGsは、対象が異なります。
ESG(ESG投資)は、投資をする先の企業の選択基準、投資家や運用機関の指標です。
SDGsは、世界規模で取り組むべき課題の目標で、全ての人が取り組むことです。
ESG(ESG投資)とSDGsの関係性
企業はSDGsに取り組むこと(社会的問題を解決すること)でビジネスのチャンスを得ることができ、投資家はESGの観点を指標としてビジネスの発展を見込んで投資の機会を得ることができます。

出典:年金積立金管理運用独立行政法人 ESG投資とSDGsの関係
https://www.gpif.go.jp/investment/esg/#a
ESG(ESG投資)とSDGsの重要性
ここ数年で急速に普及してきたESG(ESG投資)やSDGsは、一過性の流行だと思われるかもしれません。
しかし、PRIに署名した投資機関は2018年の時点で世界の1965の機関(資産運用規模約70兆ドル)が署名し、それ以降も増え続けています。
既にESG(ESG投資)を重要視することはグローバルスタンダートになりつつあるのです。

出典:経済産業省 ESG投資
https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/esg_investment.html
ESG(ESG投資)を行おうとすれば、必然的に企業のSDGsへの取り組みが重要視されることになります。
日本政府としてもSDGsへの取り組みを掲げており、投資を受ける側である企業もあらゆる立場(国、投資家、消費者、従業員など)からESG(ESG投資)/SDGsの対応を要求されることになるでしょう。
出典:外務省 Japan SDGs Action Platform
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/effort/index.html
ESG投資をするには?

前述の通り、ESG(ESG投資)は、今後さらに普及することが予測されます。
では、ESG投資を行うにはどんな手段があるのでしょうか?
ESG関連の投資信託
複数の証券会社や銀行などからESG関連の投資信託の商品が発売されており、国内外の世の中を良くする企業ファンドへ投資することができます。
ESG指数に連動するETF
企業のESG要素は、ESG評価機関であるMSCIやS&Pグローバルといった会社によって企業の関連情報の収集、分析、評価が行われ、「ESG指数」が算出されます。この指数に連動するETF商品も増えています。
ETFは投資信託の一種ではありますが、投資先が上場しているか上場していないかという違いがあります。ETFは上場投資信託です。
インフラファンド
道路、鉄道などの社会基盤 (インフラストラクチャー) に投資する投資法人または投資信託のことをいいます。2015年には東京証券取引所にインフラファンド市場が創設されました。
また、PRIでは「インフラ投資は、投資期間が長期に及ぶこと、社会にとって必要 不可欠なサービスを提供すること等の特色を有しているため、責任投資との親和性が高いといえる。」としています。
今後、発展が期待される市場です。
引用:PRI インフラストラクチャーにおける ESG 投資入門
https://www.unpri.org/download?ac=6035
太陽光発電投資
SDGsを実現する上で注目されている技術として、再生可能エネルギーがあります。独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)では、太陽光発電のさらなる普及を予測しています。

出典:独立行政法人日本貿易振興機構 コスト低減が世界の太陽光発電の導入を後押し
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2021/0401/af4ec03642b0bd95.html
また、2012年から始まった「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」により、太陽光発で発電した電力を電力会社に売却することで一定期間、安定して利益を得ることができます。
出典:資源エネルギー省 固定価格買取制度
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/surcharge.html
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前述の通り、ESG投資には様々な手段がありますが、これから投資を始める場合は、どのように始めればよいのか、どこのサービスが良いのかわからない方も多いでしょう。
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