「サステナブルデザイン」という言葉は、「サステナブル」という言葉以上に聞きなれないものかもしれません。
しかしこの「サステナブルデザイン」という言葉は、サステナブルやSDGsを考えるうえで非常に大事なものです。
ここでは、
- サステナブルデザインとは何か
- サステナブルデザインの具体例
- サステナブルデザインを実現するために必要な意識とは
の3項目を取り上げ、解説していきます。
サステナブル・ESG・SDGs
鍋谷萌子 [2022.02.27]
「サステナブルデザイン」という言葉は、「サステナブル」という言葉以上に聞きなれないものかもしれません。
しかしこの「サステナブルデザイン」という言葉は、サステナブルやSDGsを考えるうえで非常に大事なものです。
ここでは、
の3項目を取り上げ、解説していきます。

「サステナブルデザイン」とは、「地球環境に負荷をかけすぎず、豊かで持続可能(=サステナブル)な未来であるようにという考えまたその考えに基づいたライフスタイルそのもの」を指す言葉です。
ちなみに「サスティナブルデザイン」と表記されることもあります(ここでは「サステナブルデザイン」の表記に統一します)。
サステナブル「デザイン」とあることから、「ファッションにおけるデザイン」「パッケージデザイン」のように思う人もいるかもしれませんが、ここでいう「デザイン」とはそのような狭義の意味だけにとどまるものではありません。
詳しくは後述しますが、たとえば住宅や食品、そして身の回りに至るものにまで、この「サステナブルデザイン」の考え方は適用されています。
なおサステナブルデザインの成り立ちを知るためには、「4つのシステム条件」という単語が手掛かりとなります。これは、小児がんを専門とするスウェーデンの医師であったカール・ヘンリク=ロベール博士が提唱した概念であり、持続可能な社会では、
とされています。カール・ヘンリク=リベール博士は1989年に国際組織「ナチュラル・ステップ」を発足させてこの論を展開しましたが、この論は33年後の2022年現在のサステナブルデザインの考え方の土台となっています。(1)自然の中で地殻から掘り出した物質の濃度が増え続けない、(2)自然の中で人間社会が作り出した物質の濃度が増え続けない、(3)自然が物理的な方法で劣化しない、(4)人々が自らの基本的ニーズを満たそうとする行動を妨げる状況を作り出してはならない
引用:一般社団法人環境イノベーション情報機構「環境用語 ナチュラル・ステップ」 https://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&ecoword=%83i%83%60%83%85%83%89%83%8B%81E%83X%83e%83b%83v”
関連記事:よくわかる!サステナブルとは?意味と取り組み事例についてご紹介

ここからは、サステナブルデザインの具体例を見ていきましょう。
サステナブルデザインの具体例として取り上げたいものの筆頭として、「ケロッグの取り組み」があります。ケロッグはコーンフレークやオートミール、ポップコーン、グラノーラなどの軽食を打ち出している世界的に有名なブランドです。
彼らの作り出す商品のうちのほとんどは、リサイクル素材100%でできています。おなじみのコーンフレークの紙箱なども再生紙で作られていて、地球環境にやさしい作りになっています。それ以外にも、水の消費量を抑えたり、省エネの取り組みを行ったりしています。
特筆すべきは、彼らの取り組みが実に100年以上前から行われているという点です。今では当たり前となったSDGsという言葉は2015年にできたものですし、SDGsの前段階にあたるMDGsの制定すら2000年になってからのことでした。そもそも、「このままでは地球環境に問題が生じるのではないか」と気づかれたのでさえ、1972年のことです。
つまりケロッグは、まだ「サステナブルデザイン」も「SDGs」も「MDGs」の概念すらもなかった時代から、地球環境に配慮した取り組みを行っていたわけです。
出典:
東海学園大学小池ゼミ「SDGsの説明と歴史的背景について」
https://www.tokaigakuen-u.ac.jp/academics/health_nutrition/pdf/sdgs.pdf
ケロッグ「環境への取り組み」
https://www.kelloggs.jp/ja_JP/who-we-are/environmental-initiatives.html
繊維や機械、食料品など、さまざまな分野を扱う「伊藤忠商事」は日本の会社です。
彼らは2011年に、「サステナブルデザイン賞」を受賞しています。
彼らは、貧困にあえぐインドのコットン農家がスムーズにオーガニック栽培に移ることができるようにと、移行時期にかかる負担を補うサポートプロジェクトを立ち上げました。
3年間以上続けて無農薬で栽培することで手に入れられるオーガニックコットンは、当然、農薬を使った場合よりも収穫量が減ります。伊藤忠商事は、この収穫量の減少による収入減をコットン買取時の支払額を上乗せすることで支援したのです。
たとえどれほど地球環境に良い取り組みであったとしても、それによって収穫量が減り、その仕事に従事する人の収入が減ってしまってはその取り組みを長く続けることはできません。伊藤忠商事の取り組みは、支払額を多くすることでその取り組みを長く続けていけるように支援するとともに、その仕事に従事する人を「収穫量の減少による貧困」から守っているのです。また伊藤忠商事は、それのみならず、オ-ガニック栽培の知識を享受するなどの取り組みも行いました。
この活動は多くのアパレル会社からも支持され、日本国内40社のアパレル業者が参加しました。3年間で2500件もの農家をサポートしたことが認められ、受賞につながったのです。
「サステナブルデザイン」というと、「地球環境への配慮」がよく取り上げられます。
しかしSDGsのなかには、「貧困をなくす」という項目もあります。伊藤忠商事の取り組みは、この項目に沿うものだといえるでしょう。
出典:
GOOD DESIGN AWARD2011「プレオーガニックコットンプログラム」
http://www.g-mark.org/award/describe/38165

「サステナブルデザイン」というと、「企業や国だけが取り組むもの」というイメージを持つ人もいるかもしれません。
しかしサステナブルな世界を目指すことは、企業や国だけの専売特許ではありません。むしろ私たち個人の一人ひとりが積極的に考え、取り組んでいくべきものだといえるでしょう。
では、私たち一人ひとりができる取り組みとは何なのでしょうか。
「一人ひとりの取り組み」に焦点を当てたとき、よく取り上げられるのは「節水節電」「食材の無駄を減らすこと」「物を長く使ったり、リサイクルをしたりすること」「マイバックやマイ水筒を持ち歩くこと」などの取り組みです。
これらはもちろん非常に意義深いことですが、この「私たち一人ひとりの取り組み」にも「サステナブルデザイン」が関わってきます。
サステナブルデザインを意識して作られた商品や企業を積極的に選ぶことによって、間接的ではありますが、SDGsの達成を目指すことができます。
また意外と見落とされがちな観点なのですが、企業はあくまで「利益を追求する存在」だということも忘れてはいけません。企業がサステナブルデザインを手がけ、SDGsの達成を目指した商品やサービスをリリースしたとしても、それを購入する消費者がいなければこれらは市場から駆逐されてしまうでしょう。
企業がサステナブルやSDGsを意識した取り組みをするのは、もちろん自らの企業倫理に沿ってのことです。
ただ、「サステナブルを意識した商品・サービスを開発することによって、投資が受けられやすくなったり、購入者が多くなったりすること」を期待しているからという側面もあります。企業側がいつまでも、そしてより良いサステナブルデザインを生み出し続けるためには、消費者からの支持も必要となるのです。
もちろん、「サステナブルデザインを意識した商品の方が、そうではない商品よりもずっと高い。お財布は厳しいけれど、前者を選ばなきゃ……」「こっちの方が安くて品質も良くてデザインも好きだけど、地球環境に配慮している商品の方を選ばなければいけない……」と思い詰める必要はありません。
企業が「利益」の観点からサステナブルデザインに取り組むことがあるように、消費者も自分の利益のために商品やサービスを選ぶ権利があるからです。
ただ、「同じくらいの値段だし、品質も同じくらい」「特にこだわりがないので、どれを選んだらいいかわからない」というときは、サステナブルデザインを意識した物の方を選んでみてはいかがでしょうか。
少し上でもお話ししましたが、企業がサステナブルデザインの開発に取り組む理由として「投資が受けられやすい」というものがあります。
サステナブルやSDGsを考えた企業は世界的に高い評価が与えられるため、投資の対象となりやすいわけです。
ESG投資は、環境や社会的責任、そして企業統治の3項目を判断基準として行っていく投資です。ESG投資の市場規模は非常に大きく、また今後も拡大していくと予想されています。
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鍋谷萌子
「わかりにくいことを、わかりやすく」をテーマとして、文章をつづっているライターです。専門分野のひとつであるSDGsを、正確な情報を元に平易な文章でつづっていきます。 ライター歴は10年程度、もともとはフリーランスのライターでしたが、2018年に独力でライティングの株式会社を作り、現在も運営中です。
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